緑内障治療薬:アイベータ配合点眼液
2019年11月28日に新薬「アイベータ配合点眼液」について勉強会を行いましたので報告します。
緑内障は視野欠損を伴う進行性の視神経障害を特徴とする疾患であり、適切に治療されなければ失明に至る重篤な視機能障害をもたらすものと言われています。
緑内障の治療は患者さまの視機能を維持させることが目的ですが、現時点で確実な治療は眼圧下降療法のみです。
薬物治療を行う場合、まず単剤(単薬)での治療が推奨され、単剤での効果が不十分であるときには多剤併用療法を行います。
点眼回数の増加はアドヒアランス(患者さまが積極的に治療方針に参加し治療を受けること)の低下につながる可能性があることからQOL(生活の質)の向上も考慮すべきであるとされています。
そこで、緑内障・高眼圧症で他の緑内障治療薬が効果不十分な場合としてアドレナリンα2受容体作動薬と非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬を配合した日本初の緑内障・高眼圧症治療薬「アイベータ配合点眼液」が2019年12月9日に発売されました。
特徴
この点眼はブリモニジン酒石酸塩とチモロールマレイン酸塩の配合点眼液でブリモニジンは房水産生の抑制、およびぶどう膜強膜流出路を介した房水流出を促進します。チモロールは、房水産生の抑制をします。それにより、それぞれ眼圧を下降させると考えられています。
・0.5%チモロール点眼液単剤に対する眼圧下降効果の優越性を示します。
・国内第Ⅲ相長期投与試験において長期(52週間)にわたり安定した眼圧下降効果を示しています。
主な副作用
点状角膜炎、結膜充血、眼刺激、眼部不快感、角膜びらん などありますが、いずれも1~5%未満になっています。
その他アイベータに含まれるチモロールは、β受容体遮断作用を有することから以下の患者様には投与禁忌とされています。
気管支喘息、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患、心不全、洞性徐脈、房室ブロック、心原性ショック
早期に治療を開始すれば失明することはほぼありませんので早めの発見診断治療が重要です。当院では、緑内障診断・治療ガイドラインに沿って、患者さまに合った適切な治療方針を共に考えていきます。気になる方は、ぜひ一度ご相談下さい。
(記:看護師 野口)
※追記:過去記事もご参照ください。さまざまな点眼薬が選択できるようになってきています。
久喜かわしま眼科(埼玉県久喜市:アリオ鷲宮西隣り&ケーズデンキ鷲宮店隣・2018年1月31日開院。久喜市、鷲宮、菖蒲、栗橋をはじめ、幸手市、加須市、宮代町、杉戸町、白岡市などからもアクセス便利です。)
○主な診療内容:眼科一般診療、日帰り白内障手術、日帰り網膜硝子体手術、日帰り眼瞼手術、緑内障治療、硝子体内注射、レーザー治療 など